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【連載】自由が丘クリニック恵理ドクターの美容医療コラム VOL.10(2023.2)早めが肝心 花粉症の対策

更新日:2023年4月14日


専門医が教える美容コラム(全11回)

 

【連載】自由が丘クリニック恵理ドクターの美容医療コラム VOL.10(2023.2)早めが肝心 花粉症の対策


水が出る仕組みと花粉症対策

春もすぐそこ。桜も待ち遠しくワクワクする季節ですが、本格的にスギ花粉が飛び始める2月には、毎年、花粉症の方がつらそうに来院されます。

さて、花粉症にボツリヌス毒素A型(ボトックス)が効くと、聞いたことはありませんか。シワの治療に使われる、あの、ボトックスです


そもそも、鼻水はなぜ生じるのでしょうか。鼻水の役割は、鼻の中に入ってきた埃や花粉、ウイルスなどの異物を排除することです。粘膜の表面にある細胞には、細い毛のような線毛がびっしりと生えており、普段から鼻水に覆われています。そこに異物がつくと、線毛の運動によって、ベルトコンベアーのように鼻水ごと、鼻の奥へと運ばれていきます。その移動速度は1分間に5-10mm程度と言われています。通常はこれが喉に流れていく作業が、意識せず行われていますが、風邪や花粉症になると粘膜で大量の鼻水が作られるため、線毛で処理しきれない鼻水がズルズルと鼻の前方にも流れてくることになるのです。

鼻水の量を支配するのが、主に自律神経です。花粉などの異物が鼻粘膜につくと、その刺激が脳に伝わります。


脳は異物を排除しようとして、自律神経を通じて鼻水を作らせる指令を出します。なので、薬によってこの神経の情報伝達を阻止することで症状を改善できるという仕組みになっています。実際の方法としては、鼻の中にボトックスを点鼻するだけ。針のついていない注射器でボトックスを鼻の中に垂らし、鼻粘膜に浸透させるだけなので簡単です。そして、飲み薬のような眠気が出ないのも人気の理由です。


「Current Allergy and Asthma Reports」に掲載された記事によると、「鼻腔内ボツリヌス毒素A投与は、鼻炎患者の鼻炎症状を軽減するための安全で有効な治療法であり、効果が持続する」とされています。


また、「Acta Oto-Laryngologica」に掲載された二重盲検臨床研究では、2つの異なる濃度のボトックスを点鼻した場合と生理食塩水だけを点鼻した場合の3例の実験を行いました。結果、ボトックスを点鼻した2例の方が、生理食塩水だけの例と比較して、かゆみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが大幅に軽減したことが示されました。また、1回の治療で最大8週間効果が持続したとされています。臨床的には、持続期間は2~6週間と個人差があります。また、花粉症対策に効果のある栄養素は、ビタミンD。ビタミンDは骨粗鬆症予防にも大事ですが、粘膜を丈夫にするための免疫にも大きく作用することがわかっています。また、過剰に働きすぎた免疫の調整という大事な役目もします。食事で意識する際には、きのこや、魚(あんきも、しらす、ししゃも、うなぎ)などを摂取してください。また、腸には全身の免疫の調整をする細胞の60%があるとも言われますので、腸活も大事です。腸の善玉菌を元気にするように、食物繊維をしっかり摂るようにしましょう。


鼻が詰まると、よく眠れない、勉強や仕事に集中できないなどの支障をきたしますので、困っている方は、ぜひ医療機関にご相談ください。


鼻水が出る仕組み



 

古山恵理,自由が丘クリニック,ドクター,医師

執筆 / 古山恵理(ふるやま えり)

自由が丘クリニック形成外科部長
国立病院などで形成外科医として経験を重ね自由が丘クリニック入職
日本形成外科学会専門医

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